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どうやらクラクションは鳴っていない。
一本橋に向けて再スタートを切ります。
よし、落ち着いて行こう。
少し勢いを付けて「橋」に乗っかります。
上手い人は乗る時点からゆっくりだもんね。
でも私はそんなこと言ってられない。
取り敢えず安定するように乗っかります。
しばらくしてからリヤブレーキを踏みつつ半クラッチ走行。
いいぞ、この感じ。
今までのうまく行った時の、たぶん9秒台くらいの感じ。
ここで欲を出さない。
更にゆっくり走ろうと思わない。
このままこのまま。
よ〜し、前輪、後輪と無事通過。
規定タイム不足でまた減点だったかも知れない...けどまだクラクション鳴らず。
自分にとって一番の苦手を無事...でもないけど通過して肩の力がスッと抜けるのがわかります。
コースに戻り、続いてスラローム。
三番の人が失敗した部分なのでちょっと慎重に大きく回りながらブロン、ブロンとアクセル操作。
ここも良い感じ。
タイムはわからんけど、取り敢えず通過。
コースに戻り急制動。
雨は上がったものの路面が濡れているので規定停止距離の11mが14mに延びます。
この項目は結構自信があったのでスピードを上げて一気にブレーキ!!
車体が前方にグーッと沈み込みます。
最後の最後までクラッチレバーを握るのは我慢します。
万が一エンストしてしまってもこの場合はエンジンブレーキを目一杯使っていたと解釈され、減点されません。
逆にエンストするくらい粘りなさいと教えてもらいました。
「プスン...」エンストだ。
よし、これ位がよろしい。
しかし、ここでアクシデント発生。
再度エンジンをかけるためにギアをニュートラルにしなければいけないのですが、ギアが言うことをきかない。
ペダルを踏んでも上げても何も変わらない。
ちょっと...いや、かなり慌てました。
ギアが「噛んだ」状態になっています。
回避するには車体を揺すったり、車体を前後に少し動かすのです。
しかしここで今までの減点されているであろう項目が頭をよぎります。
勝手に足をついたりバイクを動かしたりしてこれ以上減点はもう危険。
何とかギアを変えようとガチャガチャを繰り返します。
こういうことで時間がかかっても減点は無いはずです。
しばらくすると試験官の車が隣に来て「どうしました?」と声をかけます。
「ニュートラルに入りません」。
試験官が車から降りてきて「ちょっと揺すってみて」と促します。
タイヤが前後に転がるくらい揺すって、カシン!!とギアが変わりました。
「はい、じゃ続けて」。
さて、ここで焦っちゃいけません。
検定前に注意点として言われました。
「何かしらのトラブルがあっても慌てないでくださいね。その件では減点無しであってもそこで慌てちゃって安全確認を怠ったり交通ルールに反する行為があると、それで検定中止になっちゃう人がいますから...」。
そう、ここは一呼吸おいてゆっくりと安全確認。
さて、いよいよ最終場面。
S字〜踏切〜クランク。
問題はクランクだ。
パイロンに触れたこと数回、転倒したこと1回、パイロン思いっきり倒したこと1回、足着いたこと数えきれず...。
ブレーキ操作と半クラッチと、何より進路の取り方が重要。
時間制限は無いので、ゆっくり落ち着いてやればいいのだ、と分かっているものの...。
S字〜踏切、特に問題なし。
クランクにはセカンドギアで進入します。
実は2種類ある検定コースのうち、今回は右折でクランクに入るコースだったので大変ラッキーでした。
もう一つのコースは左折で入ります。
大きく右に膨らみながら左折なんてできないので、直角にクランクに入る時からすでに「クランク」みたいなもんです。
右折の場合は反対車線をまたいでからクランクにはいるので直進でクランクに入る感じです。
これは技術的にも精神的にもかなり違うと思います。
入ったらゆったりゆったりと進路を見定めながら走ります。
リアブレーキ、半クラッチ...左コーナー、よしっ、今度は少しだけ左に膨らんで右コーナー...よしっ、通過。
出口でウィンカー、左右確認。
残るは見通しの悪い交差点、信号のある交差点、指定場所への停車、エンジン停止〜バイクを降りる。
よ〜し、完走した。
「ハイ、お疲れ様でした。あちらへどうぞ」。
いつもの集合場所にはすでに中型検定の人たちはいません。
中型はもう終わっちゃってるらしい。
大型の人3名。
残念でしたが三番の人もいません。
「ここにいらっしゃる3名の皆さんは合格です」。
年が年なので「やったー」と飛び上がることなどしませんでしたが、心の中ではそんな感じ。
全身の力がフワ〜ッと抜けていくとともに、手がガタガタ震えているのが分かります。
この時測ったら、きっとものすごい血圧だったでしょう。
程なく卒業式。
頂いた卒業証書をマジマジと眺めてしまいました。
こんな感触も大人になってからそんなに経験無い。
ちょっと感動。
と同時にもうあのコースを走れないなぁと思うと少し淋しい。
まさに学校を卒業する子供たちのような感じでしょうね。
「ハーレーに乗りたい」という単純な思いで始まったプロジェクトでしたが、取り敢えず一段落。
でも現実的には大型バイクの扱いはまだまだだと思っているので、いろいろ見せて貰った先生方のテクニックをこれからも思い出しながら密かに練習したいと思います。