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【ヨハン・ベール:ホルン協奏曲ロ長調】ペーター・ダム(hrn)
冒頭のオクターブを聴いて、「ホルン」と分かる人がどれほどいるか。
「ロ長調」ということですが、チューニングピッチが半音近く低いので、変ロ長調に聞こえます。
だから冒頭のオクターブの高い方はラッパのhigh-B音に聞こえ、ラッパのチューニングBとhigh-Bを行ったり来たりする感じ。
そもそもこんな音、通常のホルンの音域ではありますまい。
ただ、そんな部分もありながら、メロディック(?)な部分もちゃんとあって、まるで2本のホルンを持ち替えているかのような演奏だ。
このメロディックな方は、ダム氏のあの音だ。
多くの金管奏者がお手本とする、ファーカス氏の「金管楽器を吹く人のために」に掲載されている理想的アンブッシュア写真集とは一線を画す、名づけて「唇 真一文字奏法」による柔らかなふくよかなサウンドである。
アメリカでもベルリンでもない、「ダム・サウンド」は聴いていてとても心地よい。
moribinさんからのコメント
ホルン協奏曲を採り上げていただき、ありがとうございます!
やはり、ダム氏の音は心地よいですよね。
バボラク氏が現れるまでは、私にとってこれがホルンでした。
今後の展開を楽しみにしてます。
arioso
>今後の展開を楽しみにしてます。
ラッパの時より膨大なものになりそうなのでちょっと不安...。
さて、ダム氏の音はホルンサウンドの優しく暖かい部分が聴かれ、本当に心地よいです。
一時代を築いたスーパースターの一人に間違いありません。
【ジョージ・ヴゥカン:ホルン協奏曲】イムレ・マジャーリ(hrn)
演奏者も曲もお初である。
...というか、本プロジェクトで与えられた課題は、私にはそれらが多く、戸惑いとともに楽しみでもある。
何とも綺麗な音色、且つ、テクニックが素晴らしい。
音そのものは、アメリカンパワフル的なものでないけど実直である。
そんな事はありえないが、大昔の中高生が使っていたヤマハのFシングルの気配がして、どこか懐かしい。
ソロホルンのマイクはもう少しONのほうが、バックに飲み込まれず良いと思う。
いや、それにしても技術はかなりのものだ。
そんなに古い録音ではないと思うが、世界レベルのホルンはこうなのか。
moribinさんからのコメント
>そんなに古い録音ではないと思う
さすが。
録音は2001年でした。
マジャーリ氏はハンガリー国立管弦楽団の首席ホルン奏者で、この曲は氏のために作曲されたものだそうです。
もちろん私もなじみがないです。
有名なオケの首席はやっぱり上手いですね。
arioso
そうでしたか。
私もなかなかのテクニシャンと思いました。
今回はネット検索などしないようにして聴いたり書いたりしていますので、とんでもないことを言い出すかも知れません...。
【コリン・マシューズ:ホルン協奏曲】リチャード・ワトキンス(hrn)
いきなりバンダ(?)ホルンセクションのパワフルな、そして刺激的なアンサンブルから始まる。
ソロホルンもバンダかと思ったが、違うか?
我が家のオーディオでは奥行き感が掴みずらい。
前出のマジャーリ盤と同様、ソロのマイクがOFF気味。
音楽は完全にいわゆる現代音楽分野であって、一回聴いて馴染める感じではない。
ワトキンス氏はしっかりと楽器を鳴らしていて、たいそう立派だ。
現代音楽ゆえ、初めて聴く私には音を間違っていてもわからないが、自信なさそうな音はないから大丈夫なのでしょう。
いや、自信たっぷりで間違えていたのなら、それはそれでまた立派であるのだが...。
音程が随分乱れている感じがするところがあるけど、ロータリーを使わず運指無しの倍音で演奏せよの指示かも知れぬ。
まあ、こういう曲はなかなか難しいね。
moribinさんからのコメント
難解な感じですね。
マシューズといえば「冥王星」でしょうか。
>いきなりバンダ(?)・・・ソロホルンもバンダか
これまたさすが!
冒頭の4本は舞台裏のバンダでソロホルンは舞台左から登場する、という演出だそうです。
ワトキンス氏はフィルハーモニア管弦楽団の首席で、この曲の初演者でもあり、この演奏もフィルハーモニア管と2004年に録音したものでした。
鳴りっぷりがいいですね。
採り上げておいて何ですが、私にはこの曲の良さがあまりわかりませんでした。
arioso
バンダは当たってましたか...。
>マシューズといえば「冥王星」...
ああ、あの人でしたか。
全く反応しませんでした。
フィルハーモニアの首席と言えば、大名人の直系ではありませんか。
上手いわけだ。
【リー・アクター:ホルン協奏曲】キャロル・ニトラン(hrn)
演奏者の名前を見る前に聴けば良かった。
聞こえてくる音が女性の音だと先入観を持っての鑑賞になってしまった。
映画音楽のような、吹奏楽曲のような雰囲気の曲で楽しい。
録音はクリアでソロの音がよくわかって良い。
バックに金管楽器がいないようなので、なおさらだ。
音のタッチ(タンギング)がソフトで、とても繊細で綺麗...ほら、女性を意識してしまっている(・・;)。
「ラッパを聴こう」の女性評時と同様、軟プレスで力みのないアンブシュアなのではないでしょうか。
ロートーンからハイトーンまで淀みなく、とても自然だ。
発音時に若干の揺らぎを感じる時があるのが残念。
パワーも十分なのですが、しかし、こういった録音を聴くと、ゲイル・ウィリアムス女史ってとてつもない人だと再認識させられます。
moribinさんからのコメント
キャロル・ニトラン氏はスロバキア・フィルの首席です。
そして実は!>>>
arioso
ゲッ!!
【クリストファー・ボール:ホルン協奏曲】ティム・ソープ(hrn)
コホン...
さて、気を取り直して..
やはりホルンの録音って難しいと思う。
録音として考えればニトラン氏は聴きやすかった。
でも本来ステージではこうは聴こえず、やはり間接的な音がたくさん含まれ、それもまたホルンの魅力であるわけです。
この録音、弱奏時は丁度良い具合なのですが、強奏時はオケに埋もれがち。
ソリストのブレス音は近くに感じるので、マイクの位置はそう遠くないと思うのですが、オケの中の木管のソロの方が近くてクリアに聴こえる。
さて、演奏は実に見事。
なのだが、特に2楽章などはピッチがオケより少し高い気がしてならない。
いや、音程というより「響き」がか。
あと1.5mm抜けば良いのに、と思ってしまう。
それにしても、こんな技術的に難易度の高いソロを、普通の顔して(?)演奏してしまうのはすごい時代になったもんだと思わせる。
デニスブレイン氏の時代に果たしてどれくらい人が対応できたでしょうか。
ソープ氏については、ソリストなのかオケマンなのか、はたまた年齢さえ存じ上げませんが、(まさか、女性と言うことはないですよね...=トラウマ)、日本のオケがFAで獲得してもよろしいのではないか。
moribinさんからのコメント
T.ソープ氏はBBCウェールズ・ナショナル管弦楽団(BBC響ではない)の首席です。
なんと22歳で首席になりました。
なんというか普通に上手いですね。
私はピッチはあまり気になりませんでした。
録音は2010年で27歳前後。
好青年ですね(笑)。
arioso
イギリスはホルンに関してはやはり特別な国なのでしょう。
重々しくもなく、軽くもなく、あくまでオーソドックスなんだけれども、ホルンの素晴らしさがよく伝わってくる演奏だと思いました。
【ジョン・ウィリアムズ:ホルン協奏曲】カール・ピトゥヒ(hrn)
ホルンという楽器は、あれだけ細長い管を使って音を響かせるわけで、そりゃあもうコントロールがメチャメチャ難しいと思います。
この曲のように、跳躍してあっちこっち飛び回りながら、出すのさえ難しいハイトーンをビシッと決めるのは、金メダルを獲得した日本男子体操選手団の鉄棒の着地を見るかのよう、一般市民には考えられない技であります。
ピトゥヒ氏の音はごくオーソドックスでありながらもパワフル。
お名前から判断できないんですけど、アメリカの方でしょうか?
あのジョン・ウィリアムズ氏の曲だし、バックがアメリカのオケだし...。
さらに「カール」だからって、男性と決めつけてはいけません。(いつまでグチグチ言ってるのか...)
強奏部の張りつめた音がグワッと開きつつパワーが維持されるので、聴いていて気持ち良い。
どこかクレヴェンジャー氏の音に通じる感じもあり。
ホルン協奏曲と言えば、モーツァルトやリヒャルト・シュトラウスだった私には、信じられない時代になってしまったようです。
moribinさんからのコメント
ピトゥヒ氏はデトロイト響の首席です。
アメリカン・ホルン・カルテットのメンバーといったほうが知っている人が多いかも。
デトロイト響のwebサイトの氏の紹介には、なんとこう書かれていました。
>He also studied with Froydis Wekre and Dale Clevenger.
さすが!
arioso
デトロイト響は私が学生時代にドラティ氏のレコーディングが話題になったことがありました。
アメリカオケのtuba吹きの多くがジェイコブズ氏と何らかの関係があるように、ホルンの世界ではクレヴェンジャー氏と...となるのでしょうね。
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