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「ラッパを聴こう」プロジェクト season 6 (2009/03/09~2009/03/14)


【フンメル:トランペット協奏曲〜第1楽章】ティーネ・シング・ヘルセス(tp)

 

たまたまYouTubeに彼女がハイドンを吹いている映像があったのですが、口元に何も力が入っとらん。

ひょっとしたら映像を録るための吹きマネ(歌で言う口パク)かも知れませんが、この辺が女性奏者の素晴らしさなのでしょう。

力でなくアパチュアと息のスピード・流れを中心にラッパをコントロールしているものと思われます。

ハイドンがまるで軽快なロックミュージックに聞こえてきます。

さてフンメル。

軽やか。

実に軽やかで爽やか。

低音の落ち着きにもう一息という部分がありますが、逆に普通の人がしっかり鳴らそうと頑張ってしまう低音を、敢えて楽に吹いているのかも知れない。

そうであれば凄い。

たぶんそうなのだ。

テクニックも安定しているしハイトーンの伸びやかさ、輝きは圧巻でありましょう。

二十歳そこそこで...というより二十歳そこそこだからこそ聞こえてくる輝かしい音色なのでしょう。

年齢を重ねてもこのままでいてほしい。

 

愛知県支部長さんからのコメント

>テクニックも安定しているしハイトーンの伸びやかさ、輝きは圧巻でありましょう。

アリソン・バルサム嬢が登場したとき、とりあえず女性tpのトップスターの座は決まったと思いましたが、この方も相当上手い。

録音の影響もあるかもしれませんが、改めて聴いてみて、トランペットの“音”がすこぶる上質に感じます。

arioso

いやいやホントに良い音です。

音が良いというのはソリストとしては宝物でしょう。

 

【アルベニス:アストゥーリアス】アマンダ・ペッピング(tp)

 

私にとって「アストゥーリアス」はギター演奏の刷り込みが激しく、さすがにラッパでは輝し過ぎ力強すぎますね。

冒頭の細やかな音符はギターでは同一音で開放弦と押さえた弦が交錯するので、揺れや立体感がでるのですが、残念ながら管楽器では物理的にそれが表現ができません。

さてペッピングさん、演奏テクニックはかなり高等であると思います。

跳躍音階が段々と幅を広げていくと若干の不安定感が聞こえます。

音色は室内楽的と言ったらいいのでしょうか、とても軽い感じです。

でもやっぱりギターで聴きたい。

 

愛知県支部長さんからのコメント

>「アストゥーリアス」はギター演奏の刷り込みが激しく、さすがにラッパでは輝し過ぎ力強すぎますね。

そうでしたか。

私は原曲を知らないので、やや教則本的な演奏ながら、はぎれよくクリアな“音”は特筆と感じたのですが、曲想にはフィットしていなかったのですね。

いつにも増して下調べが足りなかったようで反省。

arioso

いや、ギターが原曲なのかどうかは分かりません。

ラッパじゃないとは思いますが...。

私の場合はギターの刷り込みが強い!! というだけです。

是非ギター版をお聴き下さい。

愁いを帯びたメロディーは実にギターに合っていると思います。

愛知県支部長さんからのコメント

重ね重ね早とちりで失礼しました。

ギター演奏探してみます。

arioso

調べてみたらやっぱり原曲はピアノだそうな...。

 

【ボザ:冗談】斑目加奈(tp)

 

これはまたずいぶん遠くからきこえてくる。

サウンドが何かねぼけています。

銭湯の女湯で吹いている音を男湯で録ったに違いない。

なので音質の芯になるものが伝わってきません。

テクニック的には上等だと思うのですが、やはり何かコンクール的な演奏。

「女性」という先入観が強すぎるのか、前にゴリゴリと押し出してくる感じはほとんどありません。

音の最後の最後まで、或いは細かい音の一粒一粒に対する思い入れが、外国の女性陣に比べて弱いのではないでしょうか。

 

愛知県支部長さんからのコメント

特にクラシカルでは、邦人女性のトランペットのアルバムは稀少と思い購入しました。

ちょっと期待もしたのですが、先に登場した海外勢に比較すると。。。

>音質の芯になるものが伝わってきません

そーなんですよね。

録音エンジニアのせいかもしれませんが、ご本人もこれでO.K.を出しているわけだから、やはり

>音の最後の最後まで、或いは細かい音の一粒一粒に対する思い入れが、外国の女性陣に比べて弱い

のでしょうね。

激しく同意。

arioso

過去に「邦人男性陣は何十年か遅れとる」という発言をしましたが、女性陣も時間を経て世界に近づいていくのでしょう。

 

【アンダーソン:トランペット吹きの子守唄】スーザン・スローター(tp)

 

これはとても上手い。

実に上手い。

感動的に上手い。

こんな上手い「子守唄」を聴いたのは初めてです。

ルロイ・アンダーソンさんも天国で「これだっ!!」って大喜びしているはずだ。

たぶんハーセス氏やスミス氏が同曲を吹いてもこういう優しげな音楽にはならないでしょう。

それを考えると世界一の「子守唄」かも知れません。

前半・後半の静かな部分は実に声楽的な美しさ、自在に楽器を操っている感じが素晴らしいです。

中間部も軽快さ・輝かしさ・部分的な力強さ...申し分ありません。

早めのタンギングでスッと逃げる16分音符も、低音でしっかり鳴らす16分音符も実に音楽的。

 

「ラッパを聴こう」も6シーズン目になり、過去、ヨーロッパ若手男性陣等の素晴らしい演奏はいろいろ聴かせて頂きましたが、彼ら同様、演奏技術がどうのこうのを超えた素敵な音楽でした。

愛知県支部長さんに感謝!!

 

愛知県支部長さんからのコメント

>こんな上手い「子守唄」を聴いたのは初めてです。

小生もtp吹きのはしくれで、この曲は何度か人前で吹く機会がありましたが、これを聴いて以降は、もし次にステージがあれば、この演奏を手本にしたい、と強く思いました。

>早めのタンギングでスッと逃げる16分音符も、低音でしっかり鳴らす16分音符も実に音楽的

あのフレーズとか、ですよね。

聴いていて本当に気持ちがよいです。

arioso

最近は「モノが増えるのがめんどくさい症候群」なのですが、これは買おうかなぁ...。

 

【市原ひかり:太陽の光】市原ひかり(tp)

 

ジャズであります。

フリューゲルでしょうか。

ゴリゴリのジャズではなく、大変聴きやすい演奏ですね。

私は結構オーディオのヴォリュームを上げて、リズムセクションの音に頭を殴られたり、管楽器の音に胸を突き刺されたりするジャズが好きなのですが、そういったタイプではないです。

女性ヴォーカルを聴くときのような感じかな。

でも、アドリブもしっかりしてると感じるし、しばらくこんなソフトな感じでいけばいいのかな。

円熟味が増したところでハードな演奏も聴いてみたいものです。

 

愛知県支部長さんからのコメント

邦人の女性トランペットというと、Jazz系しか思い浮かびません。

それもCDが出ていることを知っている程度。。。

そんな中で、ここ数年の間では比較的良く聞く名前だったので、ボーナストラックに加えました。

正直、可もなく不可もなくに近いのですが、

>アドリブもしっかりしてると感じるし

ということもあり、将来が楽しみな奏者だと思いました。

arioso

フィーリングがチャック・マンジョーネ的でありますね。