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TANNOYの名前は当然知っておりました。
外国製の伝統的スピーカーであります。
そういった物は高価であってかなりのマニアさんとかお金持ちさんが買うものであるという認識もありました。
例えばJBLとかTANNOYが今のように数万円で買えるような小型スピーカーを作るなんて思いもしない時代です。
なのでTANNOYは「高い」なのでした。
しかし...
安いとは言わないまでもSS-G7とそんなに変わらない。
これこそが「円高還元セール&現品店頭処分」のお陰であったのです。
それにしてもTECHNICSもSONYもいい音で鳴っていたので、まぁちょっと聴いてみるかぁ程度のことだったと思いますが、まぁちょっと聴いてみたわけです。
その「ちょっと」が命取りでした。
「ちょっと」どころでなく、弦楽器の音が聞こえた瞬間に大げさですが衝撃を受けました。
「な、なんじゃこりゃあ!!」(ジーパン!?...)
と、叫びこそしませんでしたが...。
TANNOYから出てきた音はビロードのようなオーケストラの音、何という肌触り、何という豊かな響き...。
直前まで聴いていた国産2機種への興味が一瞬にして薄らぎました。
事前には全く考えていなかった展開であります。
でっかい方がARDEN、弟分がBERKELEY、両方とも実に美しく音楽を鳴らします。
先輩も同様に感動しております。
「俺はこれにする」と突然先輩がARDEN購入を決断、私も同様BERKELEYに完璧に心が動きました。
ここで再度国産機を聴かせてもらう。
さっきまで聞こえていた感動的な音は何処へ?
やっぱりオーディオ一族の中で機器の入れ替えによって音が一番変化するものと言えばスピーカーなわけで、ここは慎重且つ大胆な決断が必要です。
国産機よりも見た目の迫力は薄らぎます。
スピーカーは人に見せて喜ぶ物ではないのですが、きっとTECHNICSなりSONYなりを友達に見せれば「ゲゲッ」と言われるのは間違いなし。
BERKELEYだと「結構大きいの使ってるね...」くらいでしょう。
デカイ物好きにはしゃくに障りますが、この音聴いたらやむを得ない。
TANNOYに決定。
大学生にもなるといっちょ前に6畳の自室などを与えられていました。
今や小学生でも当たり前かもしれませんが、そんな時代にあらず。
6畳和室でしたが、いろいろと物も置いてあるのでそんなに広いスペースではございませんでした。
そんな中に突然入り込んできたBERKELEY君。
どなたにでも経験があるでしょうが、お店で見たときより、自室にはいるとそのスケール感は倍増されます。
「でかい!!」が第一印象。
しかし、そこから出てきた音は、あの秋葉原で聴いた音、そのものであります。
チープなアンプ類でしたが、そんなことは関係なし。
シルクのようないい音であります。
「これだ、これがオーディオだ」と自己満足に浸る日々が続きます。
たぶん当時良く聴いていたオーマンディ/フィラデルフィアoの「惑星」とか、ショルティ/シカゴsoのマラ7(洋盤は箱入りでカッコイイのだ)などのLPを日夜グルグルと回していたものと思います。
特に「火星」「木星」の広がりのあるとても美しく力強いサウンド、「マラ7」終楽章の、あのティンパニ→ホルン→トランペットのド迫力リレー、たぶん特定のとこだけをウ〜ンウ〜ン唸りながら聴いていたことでしょう。
当然、スピーカーのネットははずして聴きます。
ウーハがブルンブルンと揺れるのを見るのも、当時の私にはオーディオなのです。
さてさて、しかしながら学生でもあり、他に何かを買い足したくても金がない。
それどころかスピーカーを月賦で買ってるので、それどころじゃない。
社会人になるまで(いや、なれるまで)はストップであります。
このようにして私のオーディオは一時中断を余儀なくされるのでありました。
(2007.07.13記)
(青春編完)
青森むつ太郎さんからのコメント
オーディオ機器がラジカセのみだった頃、ステレオがある友達の家に良く遊びに行ったことを思い出しました。
高校に入ってステレオを買ってもらえるとなるとTechnicsやYAMAHAは当然候補に上がってきます。
ONKYOのブックシェルフも捨てがたい…というか当初は第一候補だったけど結局ダイアトーンのフロア型スピーカーに予算の6割を使ってしまいました。
DS-50CはそれでもBERKLEYよりは小ぶり。
大きなスピーカーは強力アンプで鳴らすと真価を発揮する、と実感するのはそれから数年経ってからでした。
arioso
"DIATONE DS-50C"で検索すると、これはこれは立派なスピーカーのお姿が...。
今と貨幣価値が大いに違うとはいえ、10万円(1本)でこのようなスピーカーが買えるとは、良い時代でありましたな。
ちなみにBERKELEY君も価格的にはそんなに変わりません。