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【ルイエ:トランペット・ソナタ ハ長調〜ラルゴ・カンタービレ】ルートヴィヒ・ギュトラー(tp)
その昔、東独を代表するトランペッター!!と言えば、まさしくギュトラーさんでありました。
オケマンでもあるわけですが、私にはパイプオルガンか何かの脇で短いラッパを吹いているイメージが大変強い名人であります。
実に綺麗な音です。
特に低音になると普通のB管などを吹いているような太い音で、とても力強いですな。
アンドレさんのようにふくよか且つ輝かしいサウンドではないのですが、こちらもまた世界を代表するラッパのサウンドです。
【アンタイル:トランペット・ソナタ】マーク・グールド(tp)
いや、上手いんですよ。
すごく上手いんですけど、これだけ名人のラッパばかり聴き続けていると何か物足りなし。
曲はとても面白いし、途中途中のテクニックは素晴らしい。
でも普通であります。
「普通」と言っても私たち平民の普通ではありませんので誤解されませんように。
どんな難曲でも無難にこなしてしまうような、そう言った意味の名人でありましょう。
【オネゲル:イントラーダ】ハンス・ガンシュ(tp)
どんな楽器を使っているかわかりませんが、金色の輝かしいラッパをつかっているような、そんなゴージャスなサウンドです。
テクニックは今さら言うこともなく、楽器を通してこんな風に聞こえてくるのがウィーンの音楽なのでしょう。
アメリカン・トランペットに比べ発音・立ち上がりはソフトですが、美しいタンギングは非常に心地よし。
【リッチョ:Canzon La Pichi】ラインホルト・フリードリヒ(tp)
ラッパ,トロンボーン,オルガンの演奏。
こういった楽器たちのアンサンブルって本当に美しい。
テューバ吹きの自分が言うのも何ですが、例えばガブリエリのような曲をやるときはラッパ+トロンボーンが一番美しいと思います。
ホルンやテューバは入らない方が良い。
ただし最後の最後とかにペダルトーン役でテューバが入るのはよろしい。
さて、この演奏もそういった美しさの中に気品も感じるし、難しいことをサラッとこなすテクニシャンぶりも垣間見えます。
非常に柔らかなプレスをされているような印象もあります。
ガンシュさん同様、ヨーロッパの代表的サウンドと言って良いでしょう。
【マルティヌー:ソナティナ】エドワード・タール(tp)
私たち、大学時代は"タール"と呼んでいましたが、"ター"のほうが一般的?
実は再生機器操作を誤り、別の人の演奏を聴いていました。
「大分昔とイメージ違うなぁ、こんなに柔らかなふくよかなサウンドだったかなぁ」などと思いながら聴いていたら、やっぱり間違いでした。
軽快、明快、爽快の三快サウンドであります。
いえ、そんな言葉はありませんが、タールさんのために作りました。
ヴィブラートは深く、伸びやかな高音はとても清々しい。
最終音(High-F音?)が消えていく様子はまさに天に昇るといった感じです。
【エネスコ:伝説】ジョージ・ヴォスバーグ(tp)
美しい曲ですね。
途中もの凄い超絶技巧も登場するし面白い。
ヴォスバーグ氏についてはもう言うまでもなく、シカゴ教ではお馴染み...いや知っていなければならない重要人物であるので何も言いません。
さて、そのサウンド。
アンサンブル来日時にも気になったのですが、オケのトップ奏者として強力に吹きまくる人の宿命なのか、音がやや固くノイズまじりの感があります。
しかしハーセス氏やスミス氏はそこまで感じないので、やはりこの人の音なのか。
ゆったりとした美しい旋律の時にも音の密度が濃く、力強さを失いません。
中間部のテクニカルな部分は更に輝かしさが加わります。
マイ・ゴッド・ジェイコブズ氏もそうであるように、オケの中でのサウンドが際立つ奏者なのでしょう。
【モルター:トランペット協奏曲第3番】オットー・ザウター(tp)
世の中、全てのことに於いて目覚ましい進歩を遂げていて、おいおい、どこまでいくのよ...という感じがするのでありますが、こちらの演奏もそんな感じ。
ここまで自由自在にピッコロトランペットを扱われてしまうと、誰も何も言えない。
本人は必死に吹いているのかも知れませんけど、聴いている私には「ピッコロってこんなに簡単なのさ」という雰囲気が伝わってくるのです。
マエストロ・アンドレ氏があるからこそ、その延長上にこういう若い演奏家が登場するのですが、時代の変化というのはこんなものなのでしょうか。
【モルター:トランペット協奏曲第1番】ホーカン・ハーデンベルガー(tp)
以下同文。
何とも軽やかで楽々とラッパを扱っていらっしゃるように聞こえます。
ザウター氏よりヴィブラートが深く、これは好き好きか。
私はザウター氏の方が好き。
しかし力の抜けきった、空気の中を漂うような、草原をササーッと吹き抜ける風のような弱奏は特筆物です。
本当にトランペットの演奏技術はどこまで行ってしまうのでしょう。
【ゲジケ:トランペット協奏曲】ヨウコ・ハルヤンネ(tp)
以下同文その2。
まぁ今回はピッコロではありませんが、とても美しい演奏であります。
アメリカン・ラッパとは大分違います。
ソロ曲を聴くなら、こういったヨーロッパ系の人の方がいいなあ。
アメリカン・ラッパを聴いていると、自分の好む演奏方法だったりサウンドだったり、自分自身も(tubaですが)そういった方面を目指していることもあり、ついつい聴きながら「勉強」になってしまうのです。
ハルヤンネさんの演奏を聴いていると、力むことなく音楽がストレートに感じられて「音楽鑑賞」できます。
最後のカデンツァなど特に素晴らしい。
クラシック界の協奏曲と言えば、ピアノや弦楽器がその中心であって、管楽器もホルンを含めた木管がせいぜいと言うところ。
金管の独奏となると、名人達がそのテクニックを披露し、それらを吹いている人たち、勉強している人たちが唸ると言う特別な分野という感じがします。
しかしながら、このハルヤンネさんのソロなどは、そう言った枠組みでくくられることなく、純粋に音楽鑑賞、芸術鑑賞としてもっともっと一般に普及し、聴かれて良いものだと思いました。
【マルティーニ:トッカータ】オーレ・エドワルド・アントンセン(tp)
「以下同文」をどこまで続ければよいでしょう...。
最近の若い(?)トランペッターの見事さには舌を巻くばかりです。
粒の綺麗に揃ったタンギング、十六分休符一つあってから十六音符の連続する音階などは、ちょっとした力加減で不安定なものになりがちなのですが、実に涼しい顔をして吹いているようなこのニュアンスが最高なのです。
音楽家、特に機敏な動きが苦手な楽器の奏者はこういうのを見習いたいものです。
こうありたいものです。
こうでなければなりません。
生演奏で聴きたいなぁ。
【ヘンデル:トランペット組曲〜序曲】ビビ・ブラック(tp)
そうでしょう、そうでしょう。
これくらい扱いにくくなければピッコロとは言えませんよ。
私の考えるところのピッコロはこういう感じでした。
今回の若いラッパ吹きを聴くまでは。
取り敢えず音程が悪い。
だいたい上ずり気味ですが、コントロールの難しい楽器ゆえ、許容範囲であったはずでした。
しかし、ザウターさんやハーデンベルガーさんの演奏を聴いてしまうと、何というか...。
発音はとても綺麗でソフトな感じです。
音も伸びやかで大変良いのですが、若干線が細い。
でも何かホッとする。
【trad.Shenandoah】アリソン・バルサム(tp)
柔らかい。
リップスラーでフッと優しく上がるニュアンスなどはとても美しく、聴いている私がフッと宙に浮きそうであります。
バックがオルガンであることもこの演奏を大いに引き立てていて、どこか懐かしくどこか崇高な、大変心に染み入る演奏です。
バルサムさん、どんな人かなと検索してみると先月来日しているではありませんか。
しかも、読響でフンメル吹いてる。
聴き逃した。
メチャクチャ残念!!
kakuさんからのコメント
お久しぶりです。
私は、先日NHKでこの方を拝見しました。
イギリスの古い邸宅での収録のようでした。
それにしても、涼しい顔して難しそうなことを簡単にやってのけるなあ...という印象でした。
(映像と音声が、若干ずれていたので「クチパク?」と思えるくらい)
あと、超をつけてもいい美人。
天は、たまに二物を与えるのですね。
arioso
それ見てません。(T.T)
CDジャケくらいしか見ていないので、是非動いているところを見たいものであります。
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