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【グリエール:ホルン協奏曲】 オーシル・ヘンリクセン(hrn)
とても聴きやすいし親しみやすく良い曲だ。
グリエールと言えばテューバの曲もあって馴染み深い。
ヘンリクセン氏の音はやや細目で豊かなヴィブラート、私的分類ではペーター・ダム派に属する美しい音色だ。
スネアが目立ってどこか吹奏楽的な第1楽章、ゆったりとして少し陰りのある第2楽章、第1楽章同様楽しい音楽なのだがあまり続くとちょっと飽きるぞ第3楽章、全体としては楽しめた。
オケ伴だから良いが、ピアノ編曲で伴奏が付いたら単一色の音楽に集中力が持たないかも知れない。
【シコルスキ:ホルン協奏曲】 エドウィン・ゴルニーク(hrn)
主題が分かりやすいと言うかしつこいくらい繰り返されるので嫌でも覚えてしまう。
丁度良い言葉を乗せれば CM ソングで行けてしまいそうな第1楽章であった。
第2楽章は打って変わって深い海の底のような、行けども行けども終わりのない不安感がつきまとう。
第3楽章はまたまた打って変わって楽しいダンスミュージックだ。
全体的に分かりやすいが取っ付きづらい曲である。
録音データが不明、ハッキリとは申し上げられないが、録音の質やモノラルであることから 50 年代あたりか。
ヴィブラート豊かな演奏でありハイトーンのツブがとても綺麗、ダム氏より太い音で、私的分類ではブヤノフスキー派としたい。
テクニックは相当で、特に終楽章はなかなか難しいパッセージが続くがしっかりと吹ききっている。
【ニューステッド:ホルン協奏曲】 フロイディス・レー・ヴェクレ(hrn)
大変面白い曲だ。
ポップな感じかと思えば深い森に迷い込んだような不思議な気配、生で聴いてみたい。
ヴェクレ氏のホルンは線が細く音色はきれいなのだが、どこか不安定な部分が感じられて居心地が悪い。
いや、平均台から落ちてしまうような事は無くバランスよく整ってはいる。
でも何と言うか平均台の幅が1cm狭いというか、何と言うか。
ハイトーンや細かなタンギングは見事だ。
【ハヴリーク:ホルン協奏曲】 イルジー・ハヴリーク(hrn)
自作の協奏曲とのこと、自分のテクニックを十分に披露できる曲なわけで演奏者にとって最高ではないか。
曲は分かりやすく、さすがにホルンの聴かせどころを心得ているから聴き応えもある。
元々がピアノ伴奏によるものなのかオケ伴をピアノにアレンジしたのかは分からないが、この位リラックスして音を鳴らした方が絶対良い、ピアノ伴奏が正解だ。
第2楽章はほの暗い音楽がホルンの柔らかな音により美しく奏でられて絶品だ。
録音はクリアーで良いが、ピアノに比べホルンの音により響きが必要に思う。
【アッテルベリ:ホルン協奏曲】 アルベルト・リンダー(hrn)
個人的には大ヒット、いや満塁ホームランでも良い。
曲も演奏も録音もおおいに気に入った。
ホルン・ソロはやや線が細い感じだが曲に合っている。
シカゴやベルリンの強力ホルンより、何か不安定要素を感じさせる(失礼!)リンダー氏の音の方が相応しいと感じる。
理由は分からぬ。
【フルメリ:ホルン協奏曲】 イブ・ランスキ=オトー(hrn)
何が始まるのか...冒頭が面白い。
ランスキ=オトー氏は明るくて柔らかな音色、パワー・ホームラン・ヒッターでなく、イチロー選手のような俊足好打者、バット・コントロールがとても上手い。
曲は次から次へと新しいものが登場するから忙しい感じが残る。
第2楽章冒頭のゲシュトプフを織り交ぜた完全ソロは聴かせどころであろうが、ちょっと音程が甘いのは気になる。
ハイトーンが頻繁に出てくるがそこはしっかりコントロール出来ていて気持ち良い。
冒頭が面白いと書いたが、終わり方もまた特徴的であった。
今回のシーズンではアッテルベリをベストに推したい。